【2024】オンライン代理制御導入後の出力制御方法 ~精算までの流れや精算比率も紹介~

オンライン代理制御の出力制御方法導入後の出力方法は、発電所の種類によって異なります。オンライン発電所(オンライン制御事業者)やオフライン発電所(オフライン制御事業者)で精算方法や精算比率も異なるため、正しく情報を得ることが大切です。

この記事では、オンライン代理制御導入後の出力制御方法を解説します。精算までの流れや精算比率もご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

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オンライン代理制御とは?遠隔で自動制御を行う方法のこと

オンライン代理制御(経済的出力制御)とは、オフライン制御事業者が行うべき出力制御をオンライン制御事業者が代わりに実施することです。このとき、オンライン制御事業者が出力制御を実施するため、オフライン制御事業者は発電及び供給を行います。

オンライン制御は、遠隔による制御で需給に応じた柔軟な出力調整が可能です。そのため、オンライン制御化することが望ましいとされていますが、すぐに発電設備をオンライン化することは制度上容易ではありません。

そこで、出力制御量の低減や発電設備の運用効率化を目的に、オンライン代理制御の仕組みが導入されました。導入後は、これまで出力対象外だった「10kW以上500kW未満の太陽光発電所」も出力制御の対象に加わります。

 

種類別にみるオンライン代理制御導入後の出力制御の方法

続いて、オンライン代理制御が導入された後の出力制御方法を解説します。種類は、大きくわけて以下の3つです。

  • 旧10kW以上500kW未満のオフライン発電所
  • 旧500kW以上のオフライン発電所
  • オンライン発電所(旧無制限無補償ルール)

それぞれの発電所における出力制御の方法、精算のイメージをご紹介します。

※以下、計算式では仮の数値を設定しています。

 

発電所1. 旧10kW以上500kW未満のオフライン発電所

旧ルールの10kW以上500kW未満のオフライン発電所におけるオンライン代理制御導入後の出力制御方法です。

出力制御の方法

旧ルールの10kW以上500kW未満の太陽光発電所は、オンライン制御の導入にあわせて新たに出力制御の実施対象となりました。なかでもオフライン制御事業者については、手動による出力制御ではなく、オンライン制御事業者が実施します。オフライン制御事業者は出力制御を実施せず、発電および供給を行います。

精算のイメージ

旧10kW以上500kW未満のオフライン発電所の精算イメージは、以下の通りです。

本来の売電収入(当月の発電料金)=発電量分の売電収入-代理制御時に基づくみなし発電量分の対価

例えば、単価32円/kW、当月発電量10,000kWh、前々月の発電量12,000kWh、精算比率が10.17%の場合、売電収入(当月の発電料金)は以下のように計算できます。

▼本来の売電収入(当月の発電料金

=32円×10,000kWh-32円×12,000kWh×10.17%

=320,000円-39053円

=28万947円

 

発電所2. 旧500kW以上のオフライン発電所

旧ルールの500kW以上のオフライン発電所におけるオンライン代理制御導入後の出力制御方法です。

出力制御の方法

旧ルールの500kW以上のオフライン発電所は、これまで現地操作での出力制御ですが、10kW以上500kW未満のオフライン発電所と同様、オンライン制御事業者が実施します。

その際、オンライン代理制御された精算比率分が減額されます。

精算のイメージ

旧ルールの500kW以上のオフライン発電所の精算イメージに関しても旧10kW以上500kW未満のオフライン発電所と同様、以下の通りです。

本来の売電収入(当月の発電料金)=発電量分の売電収入-代理制御時に基づくみなし発電量分の対価

例えば、単価40円/kW、当月発電量10,000kWh、前々月の発電量14,000kWh、精算比率が10.17%の場合、売電収入(当月の発電料金)は以下のように計算できます。

▼本来の売電収入(当月の発電料金

=40円×10,000kWh-40円×14,000kWh×10.17%

=400,000円-56,952円

=34万3,048円

 

発電所3. オンライン発電所(旧無制限無補償ルール)

オンライン発電所(旧ルールの無制限無補償ルール)におけるオンライン代理制御導入後の出力制御方法です。

出力制御の方法

オンライン制御事業者は、自ら行う出力制御とあわせてオフライン制御事業者に代わってオンライン代理制御も行います。このとき、代理制御相当分はオンライン制御事業者が発電および供給を行ったとみなして、対価を受け取る仕組みです。

出力制御の対象外である10kW未満の太陽光発電設備を除き、当面の間はすべてのオンライン事業者がこの位置にあたります。

精算のイメージ

オンライン発電所(旧無制限無補償ルール)の精算イメージは、以下の通りです。

本来の売電収入(当月の発電料金)=発電量分の売電収入+代理制御時に基づくみなし発電量分の対価

例えば、単価24円/kW、当月発電量10,000kWh、前々月の発電量13,000kWh、精算比率が2.79%の場合、売電収入(当月の発電料金)は以下のように計算できます。

▼本来の売電収入(当月の発電料金

=24円×10,000kWh+24円×13,000kWh×2.79%

=240,000円+8,705円

=24万8,705円

 

出力制御を実施してから精算するまでの流れ

出力制御を実施してから精算するまでの流れは、以下の通りです。ここでは例として、3月にオンライン代理制御を実施した場合のスケジュールを紹介しております。

スケジュール補足
3月オンライン代理制御の実施(出力制御の実施)出力制御の実施や当日の需給バランスの策定、出力制御実績の確定などを行う
4月3月の実績は4月の検針で確認される翌々月の検針分に代理制御分が実施されるため、実施してすぐ反映されるわけではない
5月
6月6月の検針分に3月に実施した代理制御分が反映される

表をみると、3月に実施した出力制御の実績が4月の検針で確認され、代理制御分は6月の検針で反映されます。そのため、代理制御分の精算は2カ月〜3カ月ほどずれるのが特徴です。

実施してからすぐ反映されるわけではないためご注意ください。

 

オンライン代理制御の精算比率

最後にオンライン代理制御の精算比率をご紹介します。以下の表は、九州電力送配電におけるオンライン代理制御の精算比率をまとめたものです。

オンライン代理制御の実施期間(2023年)精算対象月分(2023年)オフライン発電所オンライン発電所
10kW以上500kW未満(旧ルール)500kW以上(旧ルール)旧ルールおよび無制限無補償ルール
2月1日~
2月28日
5月検針分-10.61%-10.61%2.50%
3月1日~
3月31日
6月検針分-35.45%-29.99%14.28%
4月1日~
4月30日
7月検針分-43.23%-38.73%25.52%
5月1日~
5月31日
8月検針分-47.06%-33.04%18.53%
6月1日~
6月30日
9月検針分-10.17%-10.17%2.79%

出典:九州電力送配電|オンライン代理制御の精算比率について

表をみると、オンライン代理制御実施期間の区分によって精算比率が異なることがわかります。また、オフライン発電所とオンライン発電所で内容が異なるのも特徴です。

2月を例にみると、オンライン発電所では2月の発電量の2.5%にあたる電力をオフライン発電所の代理制御したとみなされます。一方で、オフライン発電所の場合、2月の発電量の10.61%は本来制御されるはずだったとみなされます。

 

オンライン代理制御の精算例

ここでは、先ほどご紹介した精算比率を用いて試しに制御額を計算してみます。4月に実施したオンライン発電所(オンライン制御事業者)・オフライン発電所(オフライン制御事業者)の精算例について以下の表をご覧ください。

※計算をシンプルにするため、FIT単価を30円として計算しています。

No項目オンライン発電所オフライン発電所
1FIT単価※130円
24月の売電電力量10万kWh
34月の精算比率25.52%-43.23%
4代理制御調整電力量※2(代理制御がどれだけ実施されたか)(No.2×No.3)約25,520kWh約43,230kWh
5代理制御調整金(No.1×No.4)765,600円-1,296,900円
66月の売電電力量13万kWh14万kWh
76月の売電料金(No.1×No.6)3,900,000円4,200,000円
8合計支払い金額(No.5+No.7)4,665,600円2,903,100円

※1:電気事業者が再生可能エネルギーにより発電した電気を買い取る時の1kWhあたりの料金

※2:代理制御がどれだけ実施されたか表す量のこと

また、表にあるFIT単価・売電電力量は仮に決めた数値となります。具体的なFIT単価などの情報は、経済産業省が公表する情報をご覧ください。

 

まとめ

この記事では、オンライン代理制御導入後の出力制御方法や精算の流れについて詳しく解説しました。改めて、本記事でご紹介した内容をまとめます。

  • オンライン制御事業者とオフライン制御事業者の精算方法は異なる
  • 精算比率に関しても実施期間や設備の種類で異なる
  • 代理制御分の精算はすぐに反映されず、2~3カ月後に反映されるため注意が必要

現在、実需給に近い柔軟な調整が可能であり、なおかつ必要時間帯のみ制御可能なオンライン制御化が望ましいとされています。費用面でもすぐにオンライン化するのは難しいかもしれませんが、出力制御が増える可能性もある今後を踏まえてオンライン化への移行をご検討ください。

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