太陽光発電の夏の高温対策|高温による設備への影響も解説

今年の夏は例年にも増して猛暑でしたが、みなさまの太陽光発電所は異常なく稼働しましたでしょうか。夏の暑さ(高温)によって発電効率が低下したり。通信機器(データロガーなどの記録装置等)が故障するなど、いくつかのトラブルが生じることがあります。

この記事では、太陽光発電設備の夏の高温対策について詳しく解説します。ほかにも、夏の高温が及ぼす影響や対策する際のポイントについて触れていきます。

夏の高温による太陽光発電への影響

夏の高温による太陽光発電への影響は、主に以下の3つです。

  • 発電効率の低下(パワーコンディショナの故障・出力低下)
  • 通信機器(データロガーなどの記録装置等)の故障による遠隔での監視障害
  • 太陽光パネルの温度上昇による発電効率低下

それぞれの内容について詳しく解説します。

1. パワーコンディショナの故障・出力低下

夏の暑い時期になると、パワーコンディショナが故障しやすくなります。

パワーコンディショナは、太陽電池で発電した直流電力を交流電力に変換するための装置のことで、電力を変換する際に熱が生じます。太陽光発電設備の発電量が増えるほど発熱量が増えるのも特徴です。

パワーコンディショナには2種類あり、屋内用パワーコンディショナーはエアコン清掃+PCSファン清掃、屋外用パワーコンディショナは内部のファン清掃や冷却装置の点検となります。

5月から10月頃まで屋外の気温が高くなります。中でも8月は、屋外の気温が40℃近くに到達する日もあり、突出してパワーコンディショナが故障しやすい傾向にあります。パワーコンディショナに不具合が生じることで、太陽光発電設備の出力低下にもつながり、場合によってはパワーコンディショナの停止が発生することもあります。

2. 通信機器(データロガーなどの記録装置等)の故障

太陽光発電所の通信機器(データロガー等の記録装置)は、日射計等の計測機器から日射量等のデータを計算・記録し、太陽光発電に係る数値を比較・計算することで、適切に発電できているか評価するために重要な機器です。

データロガーなどの記録装置をはじめとした通信機器は、温度変化や高湿度の環境で不具合が生じる可能性があります。温度が上昇することで、センサーや電子部品に負荷がかかるためです。

通信機器の不具合が発生すると、発電量データの正確性や信頼性が損なわれるだけでなく、遠隔監視システムによる状況の確認が困難となり、重要な情報の見落としなどにつながることもあります。そのため、通信機器の設置場所やそれらの予備品をあらかじめ準備しておくなどの対策が大切です。

遠隔監視システムによる状況把握ができなくなってしまった場合、太陽光発電設備の保守機能が果たせなくなります。もしパワーコンディショナの故障やその他不具合が発生しても、それに気付かずに放置されてしまう可能性があり、その後の修理や交換に要する時間も含め、長期間の売電損失につながります。

また、オンライン化済みの発電所において通信機器に障害が発生した場合、電力会社等からの出力制御要請が生じた際に、手動で設備の停止をしなければならず、停止時間が長くなることによる売電損失の増加も発生します。電力会社からの制御指示に従わない場合、ペナルティが発生するケースもあるためご注意ください。

3. 太陽光パネルの温度上昇による発電効率低下

太陽光発電は、1日の日射量が多いほど発電量が増えて発電効率が上がります。ただし、夏の気温が高くなる時期は、太陽光パネルやケーブル、周辺機器の温度が上昇して発電効率が低下します。最も発電効率がよいとされている気温は、約25℃です。

太陽光パネルの温度が上昇することで、シリコン内部の禁制帯が拡大し、発電効率の低下を招きます。また、パワーコンディショナのような半導体製品やケーブルも高温になることで電気抵抗率が高くなる性質があります。

太陽光発電設備の夏の暑さ対策

太陽光発電設備の夏の暑さ対策は、主に以下の2つです。

  • 冷却用エアコンやファンなどの定期的なメンテナンス
  • 通信盤の設置位置の見直しや通信機器の予備品準備をしておく

それぞれの対策内容について詳しく解説します。

冷却用エアコンやファンの定期的なメンテナンス

冷却用エアコンを定期的にメンテナンスすることで、夏の暑さ対策につながります。メンテナンスしていないエアコンだと、エアコンから出た埃がファン(主にパワーコンディショナ用)に付着して、運転効率が低下、その結果として冷却性能が低下するためです。

太陽光発電設備のエアコンは冬場でもパワーコンディショナが高温となるため、年間を通じて稼働しており、いわゆる家庭用のエアコンに比べ負荷が高いことも留意しましょう。
エアコンが十分に稼働できずにパワーコンディショナ内部の温度が上昇すると、パワーコンディショナの出力低下や自動停止する可能性があります。定期的な清掃・メンテナンスを行い、冷却性能の低下は最小限に防ぐことは結果として売電ロスを予防することにつながります。

定期的なメンテナンスによって、冷却用エアコンの経年劣化や異常・故障などの早期発見などにもつながります。

通信盤の設置位置の見直しや通信機器の予備品を準備しておく

太陽光発電設備が正常に発電できているか評価するために設置するデータロガーは、温度変化や高湿度の環境で不具合が生じる可能性があります。そのため、データロガーのセンサーや電子部品に負荷がかかるのを避けるため、設置位置を見直しましょう。

例えば、通信盤が直射日光にさらされる場所に設置されているとデータロガーの温度上昇につながります。

また、データロガーを含めた通信機器が不具合を起こしたときに備えて予備品を用意しておくことも大切です。予備品を準備しておくことで、万が一不具合を起こした場合でも最短の日にちで復旧できます。

夏はエアコン交換が難航するため早めの対策が大切

太陽光発電設備の高温対策をお考えの方は、夏に限らず早めに行動することをおすすめします。夏は、エアコン交換が難航するためです。

エアコン業者も夏は繁忙になるため、対策が遅れると希望するスケジュールに間に合わなくなる可能性があります。

エアコンなど設置してからしばらくの時間が経っている発電所の機器メンテナンスは、計画的に対策を行いましょう。

夏の高温対策をしながら太陽光発電設備を運用しよう

この記事では、太陽光発電設備の夏の高温対策について詳しく解説しました。改めて、この記事でご紹介した内容をおさらいしましょう。

  • 太陽光発電は夏になると発電効率が下がる
  • 発電設備に異常がなくても通信設備に異常が出ると運転に支障が出る
  • 夏の暑さ対策としては冷却用エアコンのメンテナンスや通信盤の見直しが大切

太陽光発電の夏の暑さ対策は、できる限り早めに行うことが大切です。中でも冷却用エアコンは、夏に業者が混み合いやすくなるため、遅れると希望するスケジュールでメンテナンスできないことがあります。

この記事でご紹介した内容を参考に、太陽光発電をより効率的かつ安全に運用しましょう。

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