太陽光発電設備の除草で起こりやすいトラブルとは?必要性や方法、注意点を解説

太陽光発電設備で雑草等が伸びている場合、発電効率が低下したり近隣住民とのトラブルに発展したりする可能性があります。専門業者に依頼する、または、草刈り機や除草剤を使用するなど、ケガやトラブルを防止しつつ除草することが大切です。

この記事では、太陽光発電設備の除草について、必要性や具体的な方法をご紹介します。なぜ除草が必要なのか、どのように除草を進めていけばよいのかまでご紹介しますので、ぜひ最後までご覧ください。

 

太陽光発電設備の除草とは

太陽光発電設備の除草は、草刈り機や除草剤、防草シートなどを活用して雑草等を除去・生えにくくすることです。太陽光発電設備の効率的な運用や近隣住民とのトラブル防止の観点から必要な作業といえます。

まずは、太陽光発電設備の除草の必要性や除草を怠ることで生じるトラブルの実例についてご紹介します。

 

太陽光発電設備の除草の必要性

太陽光発電設備に雑草等が生えていると、以下のような悪影響を及ぼす可能性があります。

  • 太陽光が雑草等に遮られて発電効率が減少する
  • ツタ等の雑草がフェンスに巻きつくことで風通しが悪くなりフェンスが傾く
  • パワコンや接続箱の内部までツタや草が侵入することで故障・不具合につながる
  • 敷地内の雑草等が道路や近隣農地まで侵入することでトラブルにつながる
  • 雑草等の近くでアークなどが発生した場合、雑草等が燃え、火災を招く可能性がある
  • 雑草等の手入れがされず放置されていることで、獣害に遭ったり盗難に入られるリスクが上がる。

このように、太陽光発電設備の雑草等が伸びることで、さまざまなリスク・トラブルにつながります。除草作業・草が生えにくくする環境を整えることは安全に太陽光発電設備を運用する上で大切です。

 

除草しないことで生じるトラブルの実例

以下の表は、総務省が公表している「太陽光発電設備の雑草繁茂に関する事例」をまとめたものです。

事例1:太陽光発電設備(高圧)にて除草不十分の相談があった例 

相談内容地域住民から市に対し、敷地内の除草が不十分で枯れ草が残っており、火災が発生した場合、近隣住宅に延焼するおそれがあるとの相談があった。
対処市が現場確認を行い、発電事業者に除草を依頼したが改善がみられなかった。経済産業省 資源エネルギー庁に通報した結果、後日除草が確認された。

出典 総務省 第4事例集「太陽光発電設備の雑草等繁茂に関する事例」

事例2:太陽光発電設備(出力不明)にて除草ができていない、標識がないとの相談があった事例 

相談内容地域住民から市に対して、除草ができておらず、標識もないとの相談があった。
対処市は現地確認の上、認定設備情報から発電事業者を特定し、対応を依頼した。現在は標識が設置され、除草も適切に行われている。

出典 総務省 第4事例集「太陽光発電設備の雑草等繁茂に関する事例」

 太陽光発電設備の除草ができていないことで近隣住民とのトラブルに発展することが確認できます。また、太陽光発電設備の発電効率低下や保安の観点からも問題が生じる恐れがあります。除草を適切に行わないことは、発電量の低下につながり、ひいては売電収入の減少に繋がります。

例えば太陽光発電設備に取り付けてある太陽光パネルを縦置きしている場合、草の陰による影響を受けやすくなりますので、特に注意が必要です。草の陰になった部分により、草に覆われていない太陽光パネル部分までも発電が妨げられることがあり、発電効率低下につながります。自社の太陽光発電設備を効率的に運用する上でも除草作業が大切といえるでしょう。

最近では、太陽光発電設備を囲むフェンスの倒壊を防ぐ目的も兼ねて、フェンス周りに絡んだツタを除去する需要も増えています。また、木や竹が敷地内に侵入し根をはると、除去に大きな労力がかかるため、こまめな除草で初期のうちに除くことが有効です。

このほか、太陽光発電設備の除草が実施されていない場合、トラブル発生時の駆けつけや原因究明の妨げとなり、時間を要します。太陽光発電設備の保安管理の観点からも除草作業は大切 です。

太陽光発電設備の除草方法

太陽光発電設備の除草方法は、主に以下の3つです。

  • 草刈り機
  • 除草剤
  • 防草シート

それぞれの内容について詳しく解説します。

方法1. 草刈り機

草刈り機を用いて雑草等を切断する方法です。雑草等対策の中でも、思い浮かべやすい手段の1つといえます。

草刈り機のメリット草刈り機のデメリット
 ・他の方法より安価に実践できる

・小規模な設備であれば自身でも実践しやすい

・配線切断の可能性がある

・飛び石による太陽光パネル破損のリスクを伴う

・切断作業に慣れていないとケガにつながる恐れがある

・定期的に行う必要がある

草刈り機での除草作業は自分で実践しやすい方法ともいえますが、配線の切断や架台・太陽光パネルの損傷などを引き起こす可能性があります。業者に依頼する場合でも、配線切断などのリスクを避けるため、実績が十分かどうかを確かめた上で依頼を判断することが大切です。

また、最近ではロボット型の草刈り機が開発されています。特別高圧発電所のような広大な敷地の草刈りは小型草刈り機では非常に時間がかかるため、弊社ではロボット型草刈り機を併用して効率的に草刈りをしています。

方法2. 除草剤

除草剤を散布し、草を生えにくくすることで雑草等を減らす方法です。除草剤には、農薬登録されたものと未登録のものがありますが、農林水産省に登録されている農薬の使用をおすすめします。

メリットデメリット
 ・小規模な設備であれば自分でも実践しやすい

・作業を行いやすい

・草を生えにくくする効果が持続する

1回当たりのコストを抑えられる

・近隣に農地・用水路などがある場合は使用できない場合がある

・継続的な使用が必要である

・使用時期が合わないと効果が弱まる

 

除草剤は、ただ散布するだけでは効果を期待しづらくなります。除草剤の種類・適切な使い方 を調べた上で使用を検討してみてください。

方法3. 防草シート

防草シートを用いて日光を遮ることで、雑草等が生えるのを防ぐ方法です。

メリットデメリット
 ・一度防草シートを敷くことで管理が楽になる

・耐用年数が長いものであればコストパフォーマンスがよい

・初期費用が高くなりやすい

・隙間があると雑草等が生えてくる可能性がある

・安い防草シートはすぐ破損する可能性がある

防草シートを敷く際は、事前に雑草等を刈り取っておくことが大切です。十分に整地したり、シートにしわが入らないように綺麗に敷いたりして、雑草等が生えるのを防ぎましょう。

 

太陽光発電設備の除草の実施頻度

太陽光発電設備の除草の実施頻度は、発電所の立地条件にも左右されますが、年に2〜3回程度が目安といえます。 ただし、公園や家の庭などの除草と異なり、収益性の観点も踏まえて回数を決めることが大切です。

例えば、業者に除草を依頼する回数が多すぎると、無駄な支出につながり全体的な収益が下がってしまいます。雑草等トラブルを抑えつつ依頼コストも減らせる最低ラインの頻度を自社の設備に合わせて見極める事が大切です。太陽光発電設備の架台の高さなどを踏まえて、自社に合った草刈りの頻度を確かめてみてください。

除草を実施するタイミングとしては、春(5〜6月頃)・夏の終わり(8〜9月頃)の組み合わせなどがおすすめです。

 

太陽光発電設備の除草を実施する際の注意点

太陽光発電設備の除草を実施する際、周辺土地を含めた周囲への影響を考慮することが大切です。注意点の例として、以下が挙げられます。

  • 除草剤などの薬剤が周囲に飛散する恐れがないようにする
  • ダイオキシン類や土壌汚染対策法で定められる特定物質を含まない除草剤などの薬剤を使用する
  • 除草剤使用時は実施前に地域住民への説明を行う
  • 作業者は除草を行う際にケーブルを切断しないよう注意する

自社の太陽光発電設備だけでなく、周辺土地・地域を含めて安全に考慮する必要があります。ケガ・トラブルを防止するためにも、専門の知識を有した業者に依頼するのが良いでしょう。

 

専門業者に除草を依頼することも1つの方法

専門業者に太陽光発電設備の除草を依頼するのも1つの方法です。専門業者への依頼であれば、ケガやトラブルなどを防止しながら設備周辺の除草を実施できます。

ただし、業者によって金額の設定や作業内容などが異なります。金額に関しても、太陽光発電設備の規模 やパネル容量 で金額を設定しているなど業者で異なる傾向です。

業者の対応エリアや実績などを確認しつつ、信頼できる業者であることを確かめた上で依頼先を検討してみてください。

 

設備周辺の除草を行い安全に太陽光発電所を運用しよう

この記事では、太陽光発電設備の除草について詳しく解説しました。改めて、この記事でご紹介した内容をまとめます。

  • 除草を怠ることで発電効率の低下や設備の故障・不具合につながる恐れがある
  • 設備内だけでなく近隣住民とのトラブルに発展する可能性もある
  • ケガやトラブルを防ぎつつ安全に除草作業を実施することが大切である

太陽光発電設備の除草作業には、草刈り機・除草剤・防草シート を用いて行う方法があります。ただし、配線を切断したりケガをしたりする恐れがあるため、実績のある専門知識を有した業者に依頼するのがおすすめです。

設備周辺の除草をおこなうことが安全な太陽光発電運用につながります。

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